「タイヤを長持ちさせたい。」
「タイヤからの振動や異音が気になる。」
と思っていませんか?
タイヤの買い替えは高くつくので、可能な限り長く使いたいし、
安定した心地よいドライブをいつまでもしたいですよね。
そんな時におすすめなのが、タイヤの位置交換をするタイヤローテーションです。
定期的にタイヤローテションをすることで、タイヤの摩耗を均一にし、タイヤを長持ちさせることができます。
加えて、振動や異音が減り日常のドライブも快適になります。
そこで今回は、現役の整備士がタイヤローテションのやり方を5ステップで簡単に紹介します。
後半には、
・自分でタイヤローテションする際の注意点
・業者に依頼する際の料金目安
もお伝えします。ぜひ参考にしてみてください。
タイヤローテーションとは
タイヤローテーションとは前後左右のタイヤを入れ替える作業です。
タイヤには発進、加速、コーナリング、減速、停止のたびに負荷がかかり、摩耗します。
摩耗度合いも左右前後で異なってきます。
左右前後を入れ替えることで、均一に摩耗していきます。
摩耗を均一化することでタイヤからの振動、異音を抑え、タイヤの寿命を延ばすことができます。
タイヤローテションに必要な4つの道具
タイヤローテションに必要な道具は次の4つです。
- 十字レンチ
- トルクレンチ
- ジャッキ
- リジットラック(ジャッキスタンド)
十字レンチ
”クロスレンチ”とも呼ばれ、名前の通り十字の形をしているレンチになります。
両手で扱えるので力も入りやすく、便利な工具です。
車両によってナットの大きさも様々あるので、
何ミリのホイールナットがついているかを確認してください。
一般的なホイールナットの大きさは17mm、19mm、21mm、23mmです。
トルクレンチ
ボルトやネジを締めるときに規定の力で締め付けられる工具です。
乗用車の場合10〜12㎏、軽自動車の場合の適切な力は8〜10㎏とされています。
この範囲で締め付けられるトルクレンチを用意してください。
締め付けが弱いと走行中にタイヤがぶれて、車体が揺れてしまう不具合が起きてしまいます。
最悪の場合、ホイールナットが脱落し、タイヤが脱輪してしまい、周囲を危険にさらしてしまう可能性も考えられます。
逆に強すぎるとハブボルトがなめてしまい、修理が必要になる可能性もあります。
スタッドレスタイヤに交換する際も使用することもできるので、必ず準備しましょう。
ジャッキ
車体を浮かせるための道具です。スペアタイヤが付いている車両はパンタジャッキを積んでいます。
パンタジャッキとは、ハンドルを回して車体を上げるジャッキです。スペアタイヤが付いていない場合は購入してください。
購入する場合は、油圧ジャッキをおすすめします。
油圧ジャッキであればレバーを上下するだけで簡単に車体を浮かすことができます。
リジットラック(ジャッキスタンド)
通称、”ウマ”と呼ばれる浮いた車体を支えるものを用意します。
もしリジットラックがなくても、スペアタイヤがある場合はスペアタイヤを一時的に履かせて交換するやり方もあります。
タイヤローテーション5ステップ
タイヤローテーションは次の5ステップです。
- タイヤのホイールナットを緩める
- ジャッキアップ
- タイヤの入れ替え
- タイヤの取り付け
- ホイールナットの仮締め・トルクレンチの増し締め
ステップ1:ホイールナットを緩める
ジャッキアップする前にホイールナットを緩めます。
タイヤを浮かせてから緩めようとすると、空回りしてしまうので注意が必要です。
ステップ2:リジットラックの設置する
車体のジャッキポイントに当たるようにジャッキを合わせ、浮かしていきます。
浮かした箇所にリジットラックを設置します。リジットラック設置後、ジャッキをおろします。
入れ替えるタイヤのところを浮かし、同様にリジットラックを設置します。
ジャッキを抜き取ります。リジットラックで2か所が浮いている状況です。
ステップ3:ホイールを外す
ホイールを入れ替える作業です。入れ替えるタイヤのホイールナットを外していきます。
ステップ1で緩めておいたので簡単に外せます。
ステップ4:タイヤの取り付ける
タイヤの取付をします。ホイールナットを手で仮締めしていきます。
ホイールナットをつけ、タイヤの取付ができたらジャッキで浮かせ、リジットラックを撤去しましょう。
ジャッキをおろし、タイヤを地面につけます。
タイヤの入れ替え方法
FF(前輪駆動)、FR(後輪駆動)、4WDなど、駆動方式によってタイヤローテーションの入れ替え方法が変わりますので、具体的に解説します。
- FF車の場合
駆動部であるフロントがよく摩耗し、リア部分は摩耗しにくいです。
ですので、前輪タイヤを後ろタイヤへ。後右を前左へ。
左後を右前へ移動します。後タイヤをクロスして持ってきます。
- FR、4wdともにリヤがよく摩耗します。
後輪タイヤを前輪へ移動します。
前右を後左。前左を後右へ移動します。前タイヤをクロスして持ってきます。
ステップ5:トルクを締めつける
ホイールナットを仮締め程度の力で十字レンチを使って締めつけます。
最後にトルクレンチで規定トルクの締め付けをします。
乗用車の場合、10〜12㎏、軽自動車の場合は8〜10㎏にトルクを設定しましょう。
トルクレンチは一回「カチッ」と音がするまで締め付けます。
「カチッ」という音は、規定のトルクで締め付けられている証拠になります。
交換していない箇所をステップ1から繰り返します。

50〜100km走行後にホイールナットに緩みがないか点検します。緩んでいるようであれば締めなおします。
回転方向が指定されているタイヤもあるので注意
タイヤには方向性タイヤと言って、進行方向の矢印が付いているものがあります。
路面に対するトレッドパターンが非対称になっているタイヤです。
そのタイヤは反対に持ってくることができないので、
FF車、FR車、4WDのどの車両でも前後で入れ替えをしましょう。
クロスして矢印の方向が進行方向と逆になってしまうと、方向性タイヤの特性が失われ、水はけが悪くなり、雨天時にスリップしてしまう可能性があります。
まれにタイヤサイズが前後で異なる場合があります。
タイヤサイズが異なる場合はタイヤローテーションをすることができないので、注意が必要です。
タイヤローテーションの目安(タイミング)は?
タイヤローテーションのやり方や注意点について、説明してきましたが、いつ頃するのが良いのでしょうか?
次の4つがタイヤローテーションのタイミングと言われています。
- 走行距離が5,000kmを超えたとき
- フロントタイヤの溝が少なくなってきたとき
- スタットレスタイヤからノーマルタイヤへ交換するとき
- 車検や12か月点検のタイミング
走行距離が5,000kmを超えたとき判断する
タイヤローテーションの目安は、一般的に5,000〜10,000kmと言われています。
1年で数万キロ走る車は距離数で判断することをおすすめします。
フロントタイヤの溝が少なくなってきたとき
フロントタイヤは操舵をします。そのため、リヤよりも摩耗が早く進みます。
フロントタイヤがリヤよりすり減っていれば、走行距離にかかわらず、早めにタイヤローテーションをおすすめします。
スタットレスタイヤからノーマルタイヤへ交換するとき
冬が終わるとスタッドレスタイヤからノーマルタイヤへ交換するタイミングがあります。
ノーマルタイヤへ交換するタイミングでタイヤのローテーションをしましょう。
スタッドレスタイヤも同様にローテーションして取り付けることをおすすめします。
取り外したときにどこの場所に取り付けられていたタイヤかわからなくならないように、左右前後のメモを、保管する袋に記載したり、ホイールへマスキングテープを貼るなどしておきましょう。
業者に頼む場合はローテーションで取付してもらうように指示しましょう。
タイヤ交換の費用でローテーションをしてもらえます。
車検や12か月点検のタイミング
車検、12か月点検ではブレーキパッドの残量チェックや清掃を行います。
タイヤを脱着するので取付の際にタイヤローテーションを依頼しましょう。
点検の費用でタイヤローテーションをしてもらえます。
自分でタイヤローテーションが難しい場合は依頼しよう
作業する場所を確保したり、道具を揃えなければならなかったりとハードルが高いのが現実です。
自分でやるのが難しい場合は業者に頼みましょう。
お近くのカー用品店やディーラーで頼むことができます。
料金の目安は次の価格表を参考にしてみてください。
イエローハット
黄色い看板の全国展開しているカー用品店です。
オートバックス
オレンジ色の看板で全国的に知名度を誇っているカー用品店です。
現在600店舗以上あります。
ジェームス
トヨタのグループ会社が経営しているカー用品店です。トヨタ車の知識はもちろん、他メーカーの修理も可能です。
タイヤ館
ブリヂストンの孫会社です。タイヤの専門店で、タイヤのことならお任せできます。
ガソリンスタンド
ピット作業ができるガソリンスタンドも多くあります。
工賃 | 2,200円~(1台)(税込) |
時間(目安) | 時間(目安) 15分~ |
ディーラー
トヨタ、日産、ホンダと自分のメーカーのディーラーを選びましょう。
ディーラーは多少割高になりますが、その分、車両ごとの特徴に詳しいので安心できます。
工賃 | 3,300円~(1台)(税込) |
時間(目安) | 時間(目安) 20分~ |
まとめ
タイヤローテーションをすることで振動、異音が減り心地よいドライブができるほか、タイヤの寿命を延ばすことができます。
自分でタイヤローテーションを行うことはできますが、ケガや事故につながる可能性があります。
自分で行う場合は説明書を読むなどして、注意点を把握したうえで実施してください。
ハードルが高いと感じる人はプロの業者に任せることもできます。
タイヤは安いものではないので、定期的にタイヤローテーションを行うことをオススメします。
タイヤは地面と唯一触れている部品になります。
普段から愛車のタイヤをみてみてください。
空気圧は規定通りに入っているか、ひび割れはないか、スリップサインが見えていないか、製造年月日から4年以上経っていないかを確認しましょう。
交換時期が来ていれば、パンクやバーストも考えられますので、早めに交換をお願いします。
車の寿命を延ばすためには予防整備が大事になってきます。
高額修理が必要になる前に点検をしましょう。