車の塗装は昔と比べると年々質が良くなってはいますが、永遠に劣化しないわけではありません。
経年劣化やトラブルによる塗装剥がれを起こしてしまった場合は、全塗装をするのが一般的です。また、「愛車を好みの色にカラーチェンジしたい!」という方もいるでしょう。
何らかの理由で全塗装が必要になった場合、業者に依頼するのもいいけど「DIYでもできるのか?」と疑問に思うのではないでしょうか。

そこで本記事では、車を全塗装する手順やDIYの注意点などを解説します。また、全塗装を業者に依頼した際の値段相場についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
車をDIYで全塗装するメリット・デメリット
車の全塗装を業者に依頼すると大きな費用がかかります。相場費用はざっと20万円以上。
一方で、全塗装DIYの場合は手間がかかるため、塗装後に「やらなければ良かった・・・」と、後悔することだけは避けたいところです。
実際に車を全塗装する前に、しっかりとメリット・デメリットを把握し、納得したうえで作業に取りかかりましょう。
メリット①自分の好きなように塗装ができる
車の純正色は黒や白、シルバーなどの定番色のケースが多いですが、DIYで全塗装することで、車を自分自身で好みの色に変えることが可能です。
要するに、自分のオリジナルに仕上げるとことができるということです。
最近では、派手な色でツートンカラーに仕上げたり、ボンネットだけマット調にしたりなどDIYで世界に1台しかない自分好みの車に仕上げている人も多くなっています。
メリット②塗装コストを抑えることができる
DIYで車の全塗装を行う最大のメリットは、塗装コストを抑えられることにあります。かかる費用は、一般的なスプレー缶塗装で約2万円〜3万円前後。
一方で、塗装業者に依頼する場合はかなりの塗装費用がかかってしまい、その相場費用は20万円以上にもなります。
そのため、DIYで塗装することで塗装費用を安く抑えられるというメリットがあります。
とある塗装業者にオールペンを依頼したときの費用
車両タイプ | 概算費用 |
軽自動車 | 260,000円〜 |
軽自動車Lクラス | 334,000円〜 |
国産乗用車Sクラス | 315,000円〜 |
国産乗用車Mクラス | 356,000円〜 |
国産乗用車Lクラス | 397,000円〜 |
輸入車Mクラス | 434,000円〜 |
輸入車Lクラス | 478,000円〜 |
デメリット①労力や手間がかかる
DIYで車の塗装を行う場合、塗装に必要な塗料や道具をすべて自分で揃えなければなりません。また、マスキングや下処理、乾燥から仕上げまでの工程を行う必要があるため、時間と労力がかかってしまいます。
それに、塗装に慣れている人とそうでない人とにクオリティの差が出てしまうのもデメリットの1つになります。
しかし、最近では初心者でも簡単に塗装できる道具や塗料なども売られているため、参考サイトや動画をみつつDIY塗装を始めてみてみるのもいいでしょう。
査定額が下がる可能性がある
DIYで全塗装を行うと売却時の査定額が下がってしまう可能性があります。
黒や白、シルバーなどの定番色であれば、そこまで影響を受けずに済む場合もありますが、それ以外の場合は査定額が下がることがあります。
また、塗装のクオリティによっても査定額が下がってしまうため、注意が必要です。
そのため、自分の車に愛着があり塗装後もずっと乗りつぶす予定の方は、DIY塗装をしてもなんら問題はないでしょう。

車をDIYで全塗装する方法は主に3つある
車をDIYで塗装するには様々な方法があります。今回は主な3つの塗装方法について紹介していきます。
以下でそれぞれのメリットやデメリット、特徴なども簡単にまとめました。
刷毛・ローラ | スプレー缶 | スプレーガン | |
メリット | ・簡単に塗装できる(ペンキを塗るようなイメージ) ・塗料の飛び散りが少ない ・養生が最低限で行える |
・カー用品店やホームセンターで材料が揃う ・塗料を混ぜる工程が不要 |
・塗装時間を短縮できる ・塗料を均一に吹き付けやすい ・コンプレッサーを使うので力があまりいらない |
デメリット | ・道具の優劣が仕上がりに直接出てしまう ・ムラができたり、やる人によっては質の違いが出てしまう |
・スプレー噴射のため手が疲れる ・材料代が高くつく ・周囲に気をつけないと塗料が散布して他の車に迷惑がかかる |
・特殊な機材やスペースの確保が必要 ・塗料を調達し自分で調合する必要がある ・専用のブースで行わないと塗料が散布して他の車に迷惑がかかる |
総費用 | 1万円〜2万円程度 | 2万円〜3万円 | 5万円〜10万円 |
特徴 | ・ツヤのないマットな仕上がり ・レトロな雰囲気 |
・基本、ツヤありの仕上がり (使うスプレー缶によってマットにも仕上がる) |
・ツヤありの仕上がり |
難易度 | ★☆☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★★★ |
DIY塗装方法①刷毛とローラーを使う

「塗装」という言葉だけを聞いてイメージしやすいのが、刷毛やローラーを使う方法です。
刷毛やローラーは馴染みがある方も多く、手軽さが特徴です。ペンキを塗るようなイメージで仕上げていくため、誰でも簡単に塗装することができます。
仕上がりの特徴としては、艶出しは難しくマットな仕上がりになりになることです。したがって、レトロ感を出したい時やミリタリーな雰囲気にしたい時におすすめの塗装方法です。
DIY塗装方法②缶スプレーを使う

車のDIY塗装というと、缶スプレーを使用して塗装するというイメージが多いのではないでしょうか。
缶スプレーはホームセンターやカー用品店などで売られており、いつでも簡単に手に入れられる特徴があります。
缶スプレーでの塗装の場合、塗料を調合したり専用の塗装道具を用意したりする必要がないため、気軽にDIY塗装を行うことができます。
DIY塗装方法③スプレーガンを使う

スプレーガンを使用する方法があります。スプレーガンとは塗装業者も使用している道具であり、仕上がりがキレイなのが特徴です。
ただし、スプレーガン本体やコンプレッサーなどの機材が必要となり、初期投資がかさんでしまいます。
車の塗装に必要な道具とは?
DIYで車の塗装を行う際に必要な道具について紹介していきます。
道具 | 用途 |
耐水ペーパー | 塗料が定着しやすいように車の表面に細かな傷をつけるために使用 |
シリコンオフ | 塗装面を脱脂するために使用 |
マスキングテープ | ヘッドライトや窓ガラスなどに塗料が付着しないように保護するために使用 |
プラサフ | 塗装面の凹凸をなくすための下処理用に使用 |
ベースカラー | ボディーカラーとなる塗装色 |
クリア | ベースカラーを保護する透明の仕上げ塗料 |
ぼかし剤 | 塗料を塗装面になじませるための液剤 |

車をDIY全塗装する基本的な6つの手順とコツ
今回は、DIY全塗装で一般的な缶スプレーでの塗装手順とコツについて紹介していきます。
また、刷毛・ローラー塗装について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

1.マスキング|塗料の付着を保護する
まず、ボディ全体を洗車した後に塗料が付着してはいけないところをマスキングテープで保護していきます。
たとえば、ヘッドライトや窓ガラス、テールランプなどには塗料がついてはいけないため、しっかりと保護する必要があります。
2.塗装面の研磨|塗料の密着性を高める
塗料の密着性を高めるために塗装面を研磨していきます。耐水ペーパーを使用して軽く研磨することで、塗装面に細かな傷がつきます。
傷がつくことに躊躇してしまうかもしれませんが、この後の作業で傷がしっかりと埋まるので安心して作業を進めてください。
3.プラサフの塗布|塗料と下地の密着性を確保
耐水ペーパーで傷をつけた部分やもともとの塗装面との凹凸を埋める作業になります。また、プラサフを塗布することで、塗料と下地の密着性を確保することもできます。
ここでは、下地が見えなくなるまでしっかりと数回に分けて重ね塗りを行い、最後に1000番程度の耐水ペーパーを使用して塗布面を磨いておきましょう。
4.ペイントの塗布|色付け
プラサフの塗布作業が終わったら、ペイントの塗布を行います。一度に厚塗りすると、ムラになる可能性があるため、薄く乾燥させながら塗っていきます。
ここで、ポイントなのが最低でも5~6回ほど、重ね塗りすることです。重ね塗りすることで、ムラなくキレイな仕上がりになります。
5.クリア剤の塗布|艶や光沢を高める
ベースからのペイントが終わり、十分に乾燥させた後はクリア剤を塗っていきます。
クリア剤の塗ることで艶や光沢を高めるだけでなく、ベース色を紫外線から守る効果もあります。
6.ぼかし剤の塗布|塗装を美しく仕上げる
最後にぼかし剤の塗布を行います。
ぼかし剤を塗ることで、スプレーダストなどを除去する効果があります。ぼかし剤は垂れやすい液剤のため、素早く薄めに塗ることがコツです。
DIYで車を全塗装した際のよくある失敗例と注意点
DIYで車を全塗装した時の失敗例と注意点について紹介していきます。
ブツブツができてしまった

ブツブツができてしまう主な原因は下地処理がうまくいっていなかったり、ホコリなどが塗装面に付着したりしたことが挙げられます。
ホコリやゴミが塗装面に残らないように入念に洗車してから作業を行います。また、風などが吹かない場所で作業することをおすすめします。
塗装作業中にブツブツを見つけた場合は慎重に除去します。また、乾燥後の場合は耐水ペーパーを使用して研磨することができます。
ゆず肌になってしまった

【原因】
もともとの塗装が剥がれてしまったり、重ね塗りが十分にできていなかったりした場合にゆず肌になりやすいです。
【対策】
入念に下地処理を行い、重ね塗りの回数を増やすことで対策できます。
【対処法】
十分に乾燥させた後、耐水ペーパーを使用して表面を整え、再度塗装していきます。
カラーリングにムラができてしまった

【原因】
塗料の粘度が合っていなかったり、ボディに塗る際の速度が不均一であったりした場合に発生します。
【対策】
よく塗料を混ぜた状態で速度を均一に保ちながらボディに塗っていきましょう。スプレータイプを使用する場合はノズルが詰まっていなかも確認することが大切です。
【対処法】
クリア剤を塗布する前ではあれば、重ね塗りを行い、ムラを消していきます。仮にクリア剤を塗布してしまったら、あらためて耐水ペーパーを使用して研磨を施し、再塗装しなければなりません。
車の全塗装を業者に依頼する場合の料金相場
車の全塗装を業者に依頼した場合はどれくらいの金額がかかるのでしょうか。
ここでは、専門業者に依頼した場合のメリット、デメリットと合わせて紹介していきます。
車塗装の専門業者に依頼するメリット・デメリット
車の塗装を専門業者に依頼する最大のメリットは塗装の仕上がりと耐久性にあります。
プロによる塗装はムラなく均一でキレイな仕上がりが特徴です。もちろん、下地処理などもしっかりと行われているため、耐久性についても問題ありません。
しかし、費用が高額になってしまうというデメリットもあります。
車塗装にかかる値段・料金相場
車の全塗装を業者に依頼した場合の料金相場を紹介していきます。
【ソリッド塗装】
20万円~38万円
【メタリック塗装】
26万円~48万円
【パール塗装】
30万円~50万円
あくまでも目安となりますが、ボディサイズや塗装面の状態によっても金額が変わります。
また、塗料の修理によっても金額が異なることがあるため、業者に依頼する場合は事前に見積もりを取るようにしましょう。
費用を抑えてマット調に仕上げるならタカラ塗料がおすすめ
缶スプレー塗装やスプレーガン塗装は、ツヤツヤに仕上がる反面、素人には難易度が高く、初めての方には到底おすすめできません。
そのため、まずは触りでDIY塗装を楽しんでいただくためにも、刷毛・ローラー塗装にも注目していただきたいところ。
「タカラ塗料」なら塗装道具セットが販売されているので素人でも簡単かつ費用を抑えてDIY塗装をスタートできます。
完成イメージはツヤツヤではなくマット調に仕上がりますが、完成後のレトロ感とその美しい配色に満足している方は多いようです。
まとめ
車をDIYで全塗装する方法とコツについて紹介してきましたがいかがでしたか?
しっかりとポイントを押さえれば誰でも簡単にDIY塗装が可能です。もちろん、塗装方法によってもコストに差があります。
気軽かつリーズナブルに自家塗装を行うにはタカラ塗料の塗装道具セットを使用する方法をおすすめします。